自転車で新潟県一周。その締めくくりは、佐渡一周だ。今日は佐渡の3日目。順調にいけば今日でサドイチ完了。イコールこの旅も完了となる。
ちなみに今回の新潟県一周の定義は「すべての市町村を通る」。つまり、合併しひとつの市となった佐渡は、ある意味フェリーから降りたら達成、ということになってしまう。
まぁ、それを言ったら粟島も同じだし、じゃぁ寺泊行ったら長岡市クリアか、みたいな話にもなりかねない。まぁ、そんな厳密なルールでゲームを行なっているわけではない。粟島行ったらそりゃ一周するし、佐渡もしかり。一周してからだろう。何が「から」なのかは不明だが。
さて、そんなこんなで3日目が始まる。相川のあたりから、おそらくサドイチ最難関の大佐渡山越えだ。今回あまり下調べをして来なかったが、どうもZ坂なる難関があるらしいというのは耳にしていた。
というわけで、前日にローソンで補給食を余計目に購入しておいた。なんたって前日はほぼ空腹のまま数十キロを走る羽目になってしまったのだから。朝食にありつけない。この旅で一番ピンチだったかもしれない。
もうひとつ、今日はこの旅唯一のホテルで朝食をいただいた。それこそこのあたりにはコンビニなど朝食を取れる場所がないことをあらかじめ調べていたからだ。
というわけで、朝食を最速でいただき、旅路につく。

天気は晴れ。風が少しあるが、非常に走りやすい気候だ。特にサドイチは給水スポットが少ないため、このくらいの天候がベストだろう。

当たり前なのだが、このサドイチは、左に海、右に山という風景が大半を占めている。違うのは、風向きだ。この3日間はほぼ、南から北に向かう風だった。つまり、北上する前半は追い風だったのでかなり楽に走ることができた。
さすがに疲労が限界に達し始めてはいるが、それでも風に助けられ順調に進む。

そして。ついに来た。初めてでもわかる。地図上でも「絶対これZ坂でしょ」と一発でわかるくねり具合。

それどころか、正面を見ると、なぜZ坂と言われるのか、その理由がはっきりとわかった。見たまんま、坂が、Zだ。
しかし、ここまで星峠の棚田、清津峡、そして粟島と数ある難関を超えてきた僕にはもはや敵ではない。このZ坂を難なくクリアだ。予想していたほどの急勾配でも距離でもない。意外とあっさりクリアできた。
あらかじめ心の準備ができていたからよかったのだろう。完全に知識ゼロで行っていたらまた違ったはずだ。
いずれにしてもあとは両津へ向けてひた走るのみ。

途中大野亀というスポットに差しかかる。このサイズで亀となるともはや、アダマンタイマイしか思いつかない。FF13のアダマンタイマイか、FF15のアダマンタイマイかは、意見が分かれるところだろう。
近隣の貴重な食堂「大野亀ロッジ開店」まで20ほど待つ。機材の充電と水分補給の貴重なスポットだ。

こともあろうに、この日、このお店は停電していた。自然光のみで照らされる店内。自販機もストップしている。しかし一応食事はできるという。ここで昼飯をいただくか迷ったが、このあとどうしても行ってみたい食堂があったため我慢。補給食と水を満タンチャージして次へ向かう。
次の目的地へ、ひたすら走るのみ。


メレパレカイコという食堂へ。人口17人の限界集落だった虫崎に移住してきた夫婦が開いたお店だそうだ。島の旬をふんだんに使った薬膳料理がいただけるらしい。

旅中で最も贅沢な昼食、薬膳ランチをいただく。過酷なサドイチですり減ったHPとMPがリセットされていくかのようだ。もしまた佐渡に来ることがあれば、ぜひまた来たいお店だ。

ここまで来ればあとはほぼ平地だ。ラスト20km。サドイチ、そしてガタイチ、いずれも残すところわずか20kmだ。
しかしここからが大変だった。なぜなら、ここからは向かい風だ。簡単には終われない。
いつになっても両津港が見えてこない。20kmとはこんなにも長かったのか。とはいえ、いずれは終わりが来る。ついに両津港が見えた。
その瞬間、堰を切ったように雨が降ってきた。まさにゴールの瞬間を待っていたかのように。
終わったのだ。ついに。

このときの気持ちはあまり覚えていない。しかし、極めて穏やかなものだったことは覚えている。
達成した喜びというより、安堵と疲労が入り混じった、よくわからない感情だったと記憶している。
また、「終わってしまった」という感覚もかなりあった。なにかを達成するということは、目の前の目標をひとつ失うということでもある。その寂しさみたいなものが、かなりあった。
実は、この旅では明確なゴールの場所を設定していなかった。というか決めなかった。決める気にならなかったというべきか。スタートはWhat’s Niigataのモニュメントからと明確に決めていたが、ゴールはなんとなく、佐渡一周したら終わりって感じだった。
「終わりたくない」って気持ちがそうさせたのだろう。今となってはそう思う。
予定より随分早く着いたので帰りのフェリーを早めて新潟へ。出発までの間、フォロワーさんに教えていただいたお店をいくつか巡る。


19:30、ついに新潟到着。たった2泊3日だが、とても長かったように感じた。
締めのラーメンを古町の寿美吉で。新潟五大ラーメンのひとつ、あっさり醤油ラーメン。まさにこの旅のラストにふさわしい一杯だ。


最後まで気を抜いてはいけない。なぜなら、最大の目標である「ケガなし、事故なし、病気なし」を達成するには、無事に自宅に到着しなければならないからだ。
こうして、自転車で新潟県一周の旅は幕を閉じた。長かったようであっけなかったようで。終わってしまったようで、終わっていないようで。

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