3日間滞在した上越を発ち、中越は十日町市へ向かう。
十日町。この土地にも少しばかり思い入れがある。というのも、かの「大地の芸術祭」をここ数年、毎年観に来ているからだ。といっても、僕自身あまりアートに興味があったわけではないのだが、前職の同僚に誘われ来たのが、興味をもつようになったきっかけだ。
隠さずに言おう。僕はその頃、大地の芸術祭どころか十日町がどこにあるか知らなかった。何十年も前の話ではない。10年以内くらいの話だ。「なんか中越の山のほう」って認識しかなかった。そのくらい僕は新潟のことをよく知らなかった。
それが何度も来るうちに、いつかは自転車で来たい、そう思うようになった。「ここまで来たら最高だろうな」十日町に来るたび、毎回同じ思いに駆られる。その思いをついに叶えるときが来たのだ。
詳しくはブログの最初の記事↓をお読みいただきたい。
「自転車で十日町に行きたい」。これがこの旅のそもそもの始まりだ。結果「どうせなら全部行けばいい」になった。なぜそういうことになってしまうのか。僕にもわからないのでおそらく誰もわからない。でも、その方がおもしろいことは明らかだ。現に想像よりずっとたくさんの方が気にしてくださっている。それが証拠だ。
簡潔にまとめるなら「おもしろそうだから」。これに尽きる。そのぐらいがいい。
さて、今回の旅のなかでおそらく最難関と言えるだろう、上越から中越への山越えチャレンジである。この辺の道に詳しくはなかったので、何度も下見をしていた。もちろん車でだ。自転車で行ってたら、それはもう、自転車で行ってしまっているではないか。ともあれ、この下見に何度も付き合ってくれた知人たちには心から感謝したい。
少しだけ裏話をしよう。下見の結果、当初は峠越えは無理と判断していた。北の方までずっと迂回して行くつもりだった。もう少し踏み込むなら、そもそも告知もYouTubeもなくやるつもりだった。
でもある日、すべてを公開する決意をした。理由はもうお分かりだろう。おもs略
とはいえ、可能なかぎり難易度の低いルートで行きたいというわけで、さらに下見を重ね、国道253〜県道13〜国道403〜国道253という至高のルートを導き出した。比較的難易度が低いうえに、ボーナスステージが2つも用意されている。もう、行くしかないよね。



ひとつめは、日本一うまいトコロテンが食べられるお店。その名も「日本一うまいトコロテン」。なにかを伝えたいなら簡潔な方がいい。

涼しげな滝の音と美しい鯉、そして川のせせらぎに囲まれた、360°すべてが自然。そんな場所に位置している。
迷わず日本一うまいトコロテンを注文。一本箸で食べるようになった理由には諸説あるようだが、空海が諸国行脚の修行中に、手にしていた一本杖でついたところから清水や温泉が湧き出たから、というのが有力だ」とここには記載されていた。

あまりの難しさに、「お箸もう一本ください」と無粋なことを口走りそうになる。そういうところだよと、自分に言ってやりたい。
さらにラムネとお茶をチャージし、最強の難関に向かう。
ここからは、当然ながら写真はない。あるのはただ、過酷さのみ。動画を待たれたい。
途中、絶対に寄りたかった「星峠の棚田」へ。その難関の再頂付近に位置する、棚田の撮影スポット。ふたつめのボーナスステージだ。



ブログでは一瞬だが、ここまで登る自信は正直あまりなかった。景色が見えてきた瞬間、全身がゾワっと震える感覚に包まれた。これだ。このためにここまで来たのだ。思わず、「チャリで来た」のプリクラを思い出しそうになるのをグッとこらえ、しばしこの感動に浸る。
素敵なご夫婦と出会う。ラーメンが好きで、新潟市にラーメンを食べに行ってきたとのことだった。しばしのラーメン談義に花を咲かせつつ、この美しい景色と温かい交流の場を楽しんだ。

ここで、とても重要なことに気づく。
おばちゃんラーメンのおばちゃんにもらった栄養ドリンクを飲み忘れていたのだ。30分前、つまりトコロテンのタイミングで飲まなければならなかったのに(前回の記事参照)。登り切った直後に気づくとは、神様もなかなかに意地悪である。
ここまで来れば、あとはほぼ下りだ。まつだい駅を目指し再びペダルを回す。


ついに来た。ここまで来たのだ。自宅からここまで、ガソリンを一滴も使わずに。代わりに脂肪を燃焼させながら。





せっかくなので、農舞台の方へ行き、アート作品に触れる。見たかった作品はあと4つほどあったのだが、もはや十日町までたどり着くHPが残っているかも微妙なところだったので自重。ドラクエなら画面がオレンジ色の状態だ。


意を決して、十日町へ。ついにこのときが来たのだ。この先は、ドラクエ2でいうならロンダルキアの洞窟だ。地獄のトンネルが多数待ち構えている。最長のトンネルは2km以上、しかも上りだ。
こんなときは、トンネル内を自転車を押して歩くに限る。ドラクエでいうなら「にげる」にあたるだろう。強敵を前に逃げるのも大事な戦略だ。
「にげる」の合間に撮影。おそらく、滅多に撮れるものではないだろう。そう思ったら、撮らずにはいられなくなった。


30分ほど歩くと、ようやく出口が見えてきた。ついにロンダルキアだ。
と思ったら、秒で目の前にトンネルがあらわれた!ドラクエ2でいうなら、ロンダルキアに出た瞬間ギガンテス3体にエンカウントするようなものだ。

もう歩くの無理なので、真っ向勝負に出た。幸いここからは下りだ。残りのトンネルを全力で駆け抜ける。
ついに祠に到着。いや祠ではない、十日町の道の駅クロステンだ。もうどっちがドラクエかわからなくなってきた。

着くや否や、何組もの方に声をかけられ、さらに中のお店では店員さん達ともお話をさせていただいた。嬉しいことこのうえない。

宿に戻ると、すでにHPは尽きていた。予定していた夜ラーは断念。明日も一日、ここロンダルキアで過ごすことに決めた。
大きな目標であり、かつこの旅を始めるきっかけにもなった十日町。難関の峠を越え無事に辿り着いた今何を思うのか。しばらく考えてみたが、とても簡潔には伝えられそうもない。

